学習会資料

韓国民主労組組合大会視察報告

全労協 全国一般東京労働組合三多摩地域支部

生活クラブ関連労働者分会

書記長  河合 賢治

はじめに

20051112日(土)〜14日(月)までの23日で、韓国民主労組組合大会の視察に参加しました。2004年の第1回訪韓報告が好評だったので、三多摩全労協より訪韓の打診があり、私自身も「韓国の労働運動がすごいとは聞くが、どのようなものだろう」という関心を持っていました。しかし、直前に「今年は参加者が少ないため訪韓団は中止」ということを聞かされ、諦めかけていたところ、事務局長の朝倉さんの尽力により何とか参加できることになりました。そのため昨年より規模は少なく、全労協事務局長の中岡基明と二人きりのこじんまりとした訪韓団となりました。日程も昨年より短縮となり、土曜日の夕方にソウルに到着、そのまま前夜祭に参加、翌日民主労組の大会に参加した後、月曜日の朝にはソウルを出るという慌しさでした。このため充分な視察ができたか自信がありません。その中で感じたことを報告したいと思います。

訪韓行動日程

日付

内容・行動

12日(土)

夕方にソウル インチョン空港に到着。

チョンさん(旧韓国オムロン労組委員長)に迎えられ、翌日まで行動をともにする。

韓江市民公園での前夜祭に参加

13日(日)

午前 西大門刑務所見学

午後 韓国民主労組大会に参加

夜  旧韓国オムロン労組の労働者と交流

14日(月)

午前 ソウル インチョン空港より日本に帰国

@   APECに対して警戒心を強める韓国のイミグレーション
韓国に入国する時に、団長である中岡さんがイミグレーションで止められ、別室に連れて行かれた。理由がわからないので混乱したが、後でAPECへの反対行動のための入国ではと疑われていたことが判明した。前回の民主労組大会に於いて、中岡さんが代表して発言し、その内容が労働者新聞に掲載されたことから彼の名前がブラックリストに載っていたようだ。「釜山には行かない」ことを再三説明し、迎えにくる予定だったチョンさんにも連絡し、ようやく入国できた。しかしその後も韓国警察よりチョンさんに執拗な連絡が入り、そのたびに同じことを言わなくてはならなかった。中岡さんは何度も韓国を訪問しているが、このようなことは初めてだという。
A    大会前の前夜祭
民主労組大会の前日には前夜祭が催される。以前は大学の構内で開催されたが、今年はソウル市内を流れる韓江(ハンガン)沿いの韓江市民公園で開催された。手前に見えるステージは民主労組ではなく、他の労働組合のステージで、このステージと背中あわせで民主労組のステージがある。ちなみに背後にみえるドーム型の建物は国会議事堂。

会場は川沿いのためかなり寒い。しかし夜遅くまで労働者の賑わいは途切れなかった。
集まった労働者の数は1万人くらいというが、見渡す限り人である。
ステージ上では参加組合からの発言のほかに、演劇や踊りも披露された。演劇の内容は、労働者の団結を取り扱ったものやアメリカを風刺したものなどで、演じている人はセミプロの役者さんたちだという。歌に合わせた集団での踊りや演奏は迫力に圧倒される。
また過去の労働運動の様子がフィルムで流されたり、労働運動で亡くなった人の写真を展示しているコーナーもあった。
ステージの運営は、コンサートなどをしている専門の労働者が関わっているため、音響や照明など洗練されている。
全体として、楽しげで盛り上がっていた。ただ楽しいだけでなくしっかりとした問題提議もあったように感じた。運動の見せ方としては日本でも見習うところ大いにあると思う。

B非正規雇用労働者への取り組み
韓国では非正規労働者が全労働者の半分以上になっている。チョンさんら組合員が何度も提案していた非正規雇用労働者への取り組みを今回の民主労組はスローガンに掲げている。日本の労働組合は多くが正規労働者主体で、非正規労働者への取り組みは不十分に感じられる。今後非正規労働者の問題は無視できないものとなるに違いない。具体的には非正規労働者の権利の確保が中心となっている。

C岐路にたつ韓国民主労組
今年の民主労組大会は、労組幹部が賄賂を貰っていたことが発覚して大きなスキャンダルになったこともあり、例年より盛り上がりに欠けるものとなった。かっていくつもの弾圧を跳ね除け民主労組を作り上げた幹部も高齢化し、世代交代の必要性がささやかれている。国民の反応も賄賂事件以降、冷たくなっているらしい。デモ隊や大会参加者に対する市民の反応は、日本ほどではないが、冷ややかさが感じられた。ただし、韓国の国民性は熱しやすく冷めやすいので、丁度冷めている所に出くわしたので、何かきっかけがあればまた再び盛り上がる可能性は高い。しかし、大会参加者の中に若い世代が少ないのは気になった。もちろん日本も同じ傾向にあるので、共通の課題ともいえるのだが。


D大会開催と経過
民主労組の大会が開催されたのは、ソウルの大通り6車線のメインストリートであった。朝は左のような感じだったのだが、大会が始まると右のように人で埋まった。


鐘路(しょうろ)とよばれるこの道を閉鎖して大会が行われた。例えるなら新宿の甲州街道を新宿駅から都庁まで労働者で埋め尽くすといった様子である。
大会はまず各地からのデモ行進が東大門方面から進んでくることから始まった。

デモ行進はいくつもいくつも続いていて、終わりが見えなかった。

さらに、遺影を抱いた集団が粛々と進んできた。労働争議で亡くなった人たちだという。日本ではあまり考えられない光景にカメラを向けていいのかどうか迷った。


日本からの旗を持ってデモする韓国の労働者。新社会党の旗も見える。

正面に宣伝カーが止まっていて、ステージ上での発言が大型テレビに映し出されるようになっている。宣伝カーは大型トラックぐらいの大きさで、画面もかなり大きい。音声は設置されたスピーカーから流される。

旗持ちは前方に集合するように指示が出る。

バスがぶつかっているのではありません。

デモ隊が会場から出て行かないように大通りに通じる道々では機動隊のバスをこのようにして止め、デモ隊を封じている。ちなみに機動隊では止められないらしい。
特にアメリカ大使館が近いため警戒していたようだ。実際にはそんな動きは無かった。

分散して待機する機動隊。多くは徴兵制のために駆り出された若者が多い。先日機動隊の若者がデモ隊にケガをさせられたという記事が新聞に載っていた。デモ隊に対する批判もあるようだ。徴兵制は兵役以外にも機動隊もあるのである。


旧韓国オムロン労組の組合員

日本に来て、オムロン本社に対して抗議行動を続けていたため、びっくりするほど日本語が上手でした。

最後に

駆け足の短い滞在でしたが、いろんなことを感じた視察でした。日本の労働運動が学ばなければならないことはいくつもあると思います。またグローバリゼーションのなかで国際的連帯の重要性はますます増していくと思われるので、韓国のみならずたくさんの労働者と連帯していくことが労働組合には求められてくるように感じました。

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